こんにちは。行政書士の高橋浩二です。
今回は短期滞在ビザで日本に来た外国人が、日本滞在中に就労ビザに変更する方法について書きます。
しかし最初に書いておくと、短期滞在ビザから就労ビザに変更することは原則としてできません。
その外国人がいなければ会社の業務が完全に止まってしまい、会社に大損害を与えるなどの特別の事情があれば就労ビザへの変更は可能なのかもしれませんが、通常は難しいですね。
就労ビザを希望する外国人はいったん日本から出国し、そのうえで就労ビザを申請するというのが原則です。
日本に滞在したまま就労ビザを取得する方法
それでは短期滞在ビザの外国人が日本に滞在したまま就労ビザに変更することは絶対にできないのか? と言われるとそんなことはありません。
条件は厳しいのですが、方法はあります。
在留資格認定証明書交付申請をする
では具体的にどうすればよいのでしょうか?
短期滞在ビザを持っている外国人が就労ビザに変更しようとする場合、入国管理局に行き、普通は在留資格変更申請という就労ビザ申請をするはずです。
しかし何度も書きますが、残念ながらこの方法では原則として就労ビザへの変更はできません。
そこでどうするかというと入国管理局に行き、在留資格変更申請ではなく在留資格認定証明書交付申請という申請をするのです。
この方法により在留資格認定証明書が交付されたら、今度は就労ビザへの在留資格変更申請をします。
在留資格変更申請をした場合、通常は1か月~2か月程度の審査日数がかかるのですが、在留資格認定証明書を持っている場合に限り、即日、就労ビザへの変更が認められます。
以上をまとめると、直接に在留資格変更申請をしても就労ビザは取得できないが、いったん在留資格認定証明書交付申請を経ることで、就労ビザを取得できるということですね。
具体例
しかしながら、この方法は理論的には可能なのですが、現実的に難しい面があります。
何が難しいかというと、おそらく日数的に間に合わない場合が多いと思われます。
具体例を挙げると、私の個人的経験ですが、以前はたとえば外国人が通訳・翻訳業務の就労ビザが欲しいと思った場合、申請書を提出してから1か月半くらいで在留資格認定証明書が交付されていました。
仮に外国人の短期滞在ビザの期間が90日だとして、日本に来てから1か月後に就労の在留資格認定証明書交付申請をしたとします。
すると在留資格認定証明書が交付されるのは1か月半後ですから、外国人は日本に来てから2か月半後には、つまり短期滞在ビザの期間内(90日以内)には就労ビザを手にすることができるようになります。
…というのが以前までの状況です。
在留資格認定証明書交付審査の長期化
ところが今は状況が違います。
広島入国管理局管内だけなのかもしれませんが、現在は就労の場合だと在留資格認定証明書交付申請をしても、審査の結果が出るまでに2か月~3か月かかります。
そうすると外国人が短期滞在ビザで来日し、その後に在留資格認定証明書交付申請をしたのであれば、短期滞在ビザ期間(90日以内)に審査結果が出るか否かは微妙な情勢となります。
短期滞在ビザの更新が認められればいいのですが、そうではない場合、90日を超えて日本に滞在するとオーバースティとなってしまいます。
それを避けるにはいったん出国し、在留資格認定証明書の交付を待って再度日本に入国するしかありません。
私が「この方法は理論的には可能なのですが、現実的に難しい面」があると言ったのは、このように在留資格認定書証明書交付申請の審査が長期化し、短期滞在ビザ期間内に手続きが終わるのかどうかわからないためです。
ですから、それでも日本滞在中に短期滞在ビザから就労ビザに変更したいというのであれば、
- 在留資格認定証明書が交付されてから短期滞在ビザで日本に来るか、あるいは
- 在留資格認定証明書交付申請をしたのち、数か月後に短期滞在ビザで来日し、その後に在留資格認定証明書が交付されるのを待つ
という方法をとるしかありません。
当然、どちらの方法も事前に日本国内に協力者がいることが必須です。
以上をまとめると、外国人が日本に来てから在留資格認定証明書交付申請をして就労ビザを取得するという方法は不可能ではありません。
ですが、私としてはあまりお勧めしたくない方法ですね。