業務日誌

外国人が建設現場で働くことのできるビザとは?

みなさん、こんにちは。

申請取次行政書士の高橋浩二です。

最近、日本の人口が減少してきたことを踏まえ、外国人労働者の受入れの話が盛んです。
特に、介護業界と建設業界での外国人労働者の受入れが問題となっていますね。

そこで今回は、「外国人が建設現場で働くことのできるビザ」について書いてみたいと思います。

「建設現場で働くことのできる普遍的なビザはない」と認識したほうがいいと思います。

現在、「建設現場で働くことのできる普遍的なビザというのは無い」と私個人は認識しています。

しかし実際には、さまざまな条件のもとに建設現場で働いている外国人がいますね。

彼らはどのような条件で建設現場で働いているのでしょうか?
建設現場で働くことのできる可能性のある場合を順に挙げてみましょう。

身分に基づくビザを持っている場合

まず、もその外国人が身分に基づくビザを持っているのなら建設現場で働くことができます。

例えば日本人と結婚している外国人(結婚ビザ)や、長年日本に滞在しており永住ビザを持っている外国人であれば、問題なく建設現場で働くことができます。

その他、永住ビザを持っている人の家族(永住者の配偶者等)や「定住者」というビザを持っている人も、身分に基づくビザなので建設現場で働くことができます。

アルバイトの場合

就労ビザではありませんが、アルバイトとしてなら建設現場で働くことも可能です。

たとえば「留学」のビザや「家族滞在」のビザを持っている人が、アルバイトとして建設現場で働く、ということはあるかもしれませんね。

ただし、アルバイトとして働くのであれば、事前に入国管理局でアルバイト活動の許可を取っておかなければなりません。

またアルバイトの場合は1週間に28時間しか働くことができないという時間制限があります(留学生は、長期休暇中であれば1日8時間まで働くことができます)。

外国様式の建築・土木工事を行う場合

もしその建設現場が、外国様式の建築・土木工事を行う現場であれば、「技能」という就労ビザを取得できる可能性があります。

「外国様式の建築・土木工事であれば、日本人には手に負えないので外国人が必要」という理屈ですね。

ただし、技能ビザを取得するためには、その外国人が最低でも5年~10年の外国様式の建築・土木工事に関して、実務ないし勉強経験があることが必要です。

技能実習生の場合

外国人の技能実習生を受け入れている建設業者さんは多いのではないでしょうか。

技能実習というのは、以前は「研修生」と呼ばれていましたが、日本で3年間の期限付きで職業訓練を受ける人たちです。

要するにこの人たちは、建設現場で就労しているのではなく、建設現場で職業訓練を受けているという理屈ですね。

この技能実習制度については、「職業訓練と称して、実際には日本で就労させているのではないか。」という意見もありますが、この点についてはここでは触れません。

とにかく技能実習生であれば、3年間だけ建設現場で職業訓練をさせることができます。

ただし、技能実習生を一つの会社が受け入れることは難しい面があり、多くの会社では技能実習生受け入れ事業を行っている協同組合に加入し、協同組合を通じて技能実習生を受け入れています。

外国人建設就労者の場合

さてさて、日本の建設現場の人手不足は深刻です。
加えて2020年には東京オリンピックを控えており、ますます人手不足が進むと懸念されています。

そこで2014年8月に「外国人建設就労者」という新たな制度が発表されました。
これは先に挙げた技能実習生を対象とした制度で、これらの者を「外国人建設就労者」として建設現場で働いてもらおうという制度です。

ただし、この制度を利用するに当たってはいくつか注意点があります。

まず、この制度自体が時限的な制度であるということです。

もしかすると、いずれ恒久的な制度になるのかもしれませんが、現時点では東京オリンピック後の2021年(平成33年)3月31日で廃止されます。

次に外国人建設就労者になれるのは、技能実習を修了した者だけです。

また、この制度は外国人建設就労者に無期限にビザを認めるのではなく、この制度での就労が認められるのは(状況に寄りますが)2年~3年以内です。

つまり技能実習制度及び外国人建設就労者として日本に滞在できる期間は、合計で6年以内となります。

またこの制度は、技能実習制度の延長にある制度ですから、一つの会社が「外国人建設就労者」を雇い入れるのは難しく、多くの会社は技能実習生の受入れの時と同じく、協同組合を通じて受け入れることになると思われます。

この「外国人建設就労者」の制度は、2015年4月1日から施行されます。