業務日誌

紹介者がいるのに、「紹介者無し」として結婚ビザの申請をしてくれと依頼された案件

みなさま、明けましておめでとうございます。

申請取次行政書士の高橋浩二です。
昨年は、多くのご依頼を頂きましてありがとうございます。

成功した事案、不許可になった事案、依頼者に嘘をつかれた事案等々、さまざまな案件にかかわらせてもらいました。

ひとつひとつの経験が、私の貴重な財産です。
本当にありがとうございました。

今年もよろしくお願いします。

虚偽の申請をしてくれと依頼されたら?

今年、最初のお題は、依頼者に虚偽の申請をしてくれと頼まれた案件について書いてみます。

もう数年前のことですが、20代の男女から結婚ビザの申請代行を依頼されたことがあります。

男性が日本人、女性が中国人でした。
結婚ビザ(日本人の配偶者等)が欲しいのでウチの事務所に代行を依頼したいというので、報酬等を提示し、了承を得たので、書類作成に取り掛かりました。

しかしすぐに大問題にぶち当たりました。
虚偽の申請をしてくれ、と言うのです。

「紹介者無し」にして欲しい

虚偽の要求をされたのは、「質問書」についてです。

「日本人の配偶者等」を申請する際には、「質問書」を作成しなければなりません。
「質問書」というのは、2人の交際状況や家族関係を記載する書類です。

その中の「紹介者」の部分について、嘘を書いて欲しいというのです。

本当は自分たちは紹介者の紹介をきっかけに付き合うことになったのだが、「紹介者」の欄には「紹介者無し」と書いて欲しい、というのが依頼者の要求でした。

「なんで「紹介者なし」にしなければならないのか?」と聞いたら、

「紹介者には、付き合わないと報告した。もし質問書に「紹介者あり」と書き、入国管理局から紹介者に問い合わせがいくことになれば、自分たちが結婚したことがばれる。そうなると紹介者には紹介料を支払わないといけなくなる。」という旨の返事が返ってきました。

虚偽の依頼は一蹴

虚偽の依頼があった場合、ウチの事務所は一蹴です。
そういう依頼者と付き合っていると、こちらの人間性が悪くなるのでお断りです。

依頼者からは「もしバレても自分たちが高橋先生に嘘をついたことにして、高橋先生には迷惑をかけませんから。」と言われましたが、本当に私に迷惑は掛からないんですかね?

何度か押し問答がありましたが、最終的に今回の仕事はここで終わりました。

気分の悪い仕事でしたが、ここまでの報酬はきっちりと払わせたので、損はしませんでした。
けれど、本当はこのような虚偽の申請を要求された場合は、報酬を全額払わせたうえで、契約を解除するべきです。

実はこの頃、今回のように虚偽の申請を要求されたり、あるいは一度業務を受注したにもかかわらず、仕事がキャンセルされたり、ということが続きました。

このようなことを防ぐためにどうしたらいいか、を考えたのですが、防止策のひとつとして業務を受ける際はきちんと契約書を作ることが大事だということに気が付きました。

それまでにも簡単な契約書は作っていたのですが、虚偽の申請を要求された場合にどうするか等、細かなことは決めていませんでした。

そのため、今回の出来事を以降、ウチの事務所では業務を受ける際は契約書を本格的に作るようになったのですが、そのことについてはまた別の機会に書きたいと思います。